欲望を満たす、という行為には、食欲を満たすとか性欲を満たすといったことへの欲望も含んでの話になりますが、「欲望」を何も考えずに満たすことを繰り返すといつのまにか欲望中毒になるぞ、とホーキンズ博士は警告しています。
実は、エベレスト登山や深海ダイビング、雪山の頂上からのスキー滑走など、いわゆる危険なスポーツにハマるのは博士風に言えば「欲望のレベルが度を越すと、そうした死と隣り合わせの危険に自らの身をさらしスリルを味わうことをやめられなくなる」とのことです。
ここまでくると、「危険だから」とかいう理由によるストップはもはや意味をなさなくなります。(要は、「命の危険も大きいし、自分には家族もいて一人だけの人生じゃないんだからやめておこう」とはならなくなってしまう、ということです)
中毒とは何もタバコと薬物と酒に限った話ではなく、依存と中毒はセットになっており、世界のいたるところに中毒となる要素は転がっているといえます。
中毒の例として挙げられているのは、強迫的なギャンブル、小児性愛、薬物、アルコール、犯罪(刑法犯とまでいかないものも含む)、性的行為、放火、精神病的行動、摂食障害、強迫的な買い物、いじめ、不合理な贅沢、買いだめがあります。
博士は、
「中毒は、深刻な結果をもたらすにもかかわらず、合理性と自己保護に取って代わってしまう」
としています。
中毒は快楽に関係する脳の神経伝達物質放出を誘発するため、やめたくてもやめられないという状態になります。
周囲がいくら言葉でやめろと言ったってやめられるはずがないのです。
特に犯罪に関しては、いくら死刑があろうが終身刑があろうが、「やる人間はやる」ように、刑罰が抑止力にならないのは上記の理由によるものです。
なお一口に中毒といっても上記に挙げたようにその行動スタイルは三者三様であり、どの行動が色濃く出るかは、個人のカルマと育った環境や文化的背景によって違いが出るとのことです。

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